ONE OK ROCKから考える、ライブ・音楽文化の問題点と批判

 

先日TVなどでも取り上げられたこちらのニュース。

 

www.nikkei.com

 

 

4月8日、幕張メッセで行われたONE OK ROCKのライブで、体調不良になる方が続出したという話です。

ライブ中、熱中症になる人が続出、さらにはスタンディングだったため、メンバーのステージ移動に合わせて観客が移動し、将棋倒しのような現象が起き、骨折や肺挫傷などの怪我をする人が出たそうです。(私は直接見たわけではないのであくまでもそういう情報が見受けられたという範囲でしかお伝えできませんが)

 

このニュースを見た時、非常に複雑な気持ちになりました。

私がこのニュースから考えたことを、今回はお話します。ライブ文化の問題点について、また同じことが繰り返されないように私たちができることは何なのか、考えたことを書きます。

 

 

1.なぜこんなに体調不良者が出たのか?(「ファン側」の問題点)

まずはなぜこんな大事になってしまったのか、ファン側の問題点と改善すべきところを考えたいと思います。

 

ライブハウス、アリーナ規模問わず、ライブでの熱中症や脱水症状というのは、よくあることです。人の密度に加え、楽器が電気を使うこと、大規模な照明があることなどを考えればわかると思いますが、とにかく屋内のライブは暑い。

水分をこまめに摂らないと、簡単に脱水症状になります。屋内だからと言って舐めてはいけません。特に今回はスタンディングなので、前の方は人が集中します。初めてライブに行く人などはその加減がよくわからなかったのかもしれませんね。

 

熱中症や脱水症状はよくある」と言いましたが、その現状は改善されるべきものです。会場にいる人全員が楽しいと思いながら帰ってもらいたいですもんね。

ではどのように改善していくのかというと、これはもう参加者1人1人がきちんと水分補給をすることに尽きます。ただ、前に行ってしまうとペットボトルすら満足に取り出せない状況になってしまうこともあります。自分の体調や周りの様子を見ながら、無理せず体調第一で楽しむことが大切です。倒れると、倒れた本人もライブが楽しめず残念ですし、周りの人に心配をかけることにもなりますので。

 

 

そしてもう1つは怪我の話ですね。これは正直異常だと思いました。

今回多くの人が怪我した原因が、「メンバーのステージ移動に伴って、前ステージ付近にいた人も移動し、将棋倒しのような状況になった」こと。

大きなライブ会場だと、前のステージとは別に、少し後ろの方に離れ島のようなステージを作って演奏することが多いです。今回はそのステージにメンバーが移動した際に事故が起きてしまったようです。

私自身、幕張メッセでライブを見たことは何度もありますが、そんな事故が起きたことはありません。移動の様子を眺めながら、ステージに到着したら後ろを向く程度で、観客の大規模な移動なんて見たことないです。

そもそも、この「離れ島ステージ」、なぜ作っているのか考えたことがあるでしょうか。「後ろの方の人でも見えるように」そこにステージを作るのではないですか?前の人が移動してきたら、何の意味もないのではないですか?

 

ここからわかるのは、「自分さえ良ければ良いと思ってる人がいる」ということ。勿論、全員ではないのは百も承知です。一部だと思います。でも、その一部の人が動くだけで、ブロック全体に負荷がかかるんです。前の人が動いたら、後ろの人とぶつかる。後ろの人も身動きが取れずさらに後ろの人にぶつかる…。後ろの人が動けるスペースだって、限界があるんです。「近くで見たい」というエゴイズムのために、下敷きになる人の気持ち、痛み、もう少し考えてください。

「お金払ってきてるんだから良いじゃん」と思う人もいるかもしれませんが、全員お金払ってきてますから。楽しむ権利は皆同じだけあるんですよ。

 

ファンのこういう行動は、他のファンに迷惑をかけるだけではなく、アーティストにも運営スタッフにも迷惑がかかります。「観客を心配してくれるメンバー、優しい!」じゃないんです。心配させて、曲何度も止めさせるようなライブ自体が間違ってます。会場から出禁を食らえばアーティストがライブをできる場所が限られてしまうし、ライブ自体に様々な規制条項ができれば、他のアーティストのライブの妨げにもなるかもしれません。良いライブを作りたいと頑張ってくださるスタッフさんを失望させないでください。

 

 

 

 2.マスコミによる影響

このニュースは終演直後から翌日以降までかなりマスコミやSNSに取り上げられ、話題になっていました。

これだけ怪我人、病人が出れば取り上げられるのも当然だとは思います。

 

私はマスコミでこの件が取り上げられることの影響は、大きいと考えています。 

「ライブ=怖い、危険」というイメージを持たせてしまうからです。

「音楽を聴くことは好きだけど、ライブやフェスはちょっと怖い」と思っている人、結構たくさんいます。本来ライブは安全で楽しいものであるべきですし、実際にそうだと思います。私も今までライブに行って「怖い」と思ったことはほとんどありません。

しかしこうやってマスコミに取り上げられたら、そういう人がライブに行きたいと思うようにはならないですよね。ますます敬遠してしまう。

 

 

3.アーティスト側の対応

この一件に対して、ボーカルTakaさんはまずInstagramで触れています。

www.instagram.com

いつものことだからあんまりビックリはしてないんだけど!
今日は外がなんだかザワザワしてたから、運ばれちゃった人達が本当に無事であることを願うとともに、、、明日はさらにぶっ飛ばしていきます! だから覚悟してね!^_^
こういうことが起きる時はファンもメンバーもスタッフも誰も悪くない!だから、、、
今日の空間にいた人達しかわからないことだから、また今日を引きづって明日が変にネガティヴな雰囲気で始まるのは嫌だから、一人一人が今日楽しんだ気持ちを噛み締めたまま、また次会えるのを期待してるよ!
みんなは俺らの宝だから!今日は本当に楽しかった!だから明日もよろしくね!

 

さらに翌日のライブでは、

「昨日だけマスコミに取り上げられちゃったのはなんで?いつものことだよ。それならいつも取り上げてよ!」

という旨の発言をしていたとのこと。

 

これもかなり賛否両論分かれていましたね。確かにこういう大事に至ってしまったのはアーティスト側、スタッフ、ファン…誰かに責任があるわけではありません。

 

でも……ファンが宝なら、もう少し大切に扱ってほしい。怪我人・病人が大量に出た状況を、「いつものこと」で片付けないでほしい。

そんな状況を「いつものこと」と言うなら、「いつも」が間違ってる。そう思いませんか?

 

 

怪我人・病人が出ないように気を配っているアーティスト、今すごく多いです。最近ではTwitterで打首獄門同好会さんのツイートが話題になっていました。

 

 

 

他のアーティストと比べるつもりはありませんが、ライブは誰もが楽しめる場所であるべきだし、それができてこそプロだと思います。怪我をした人、倒れた人の気持ちを考えていなさすぎる。ファンを蔑ろにしないでほしい。

ONE OK ROCKの音楽を否定するつもりは毛頭ありません。ものすごくかっこいいロッカーだと思いますし、世界で活躍できるような、日本を代表するロックバンドです。間違いなく。

だからこそ、日本のバンドシーンの中心として、音楽文化を守って行ってほしいんです。ライブが無法地帯と認識されて、ライブ文化が廃れていってほしくないんです。音楽文化を守れるのは、音楽を愛する人だけなんです。

 

 

4.音楽メディアは何をしているの?

はい。ここまで、

①(一部)ファンの問題点
②マスコミによるライブ文化への影響
③アーティストへの批判

について書いてきました。ここからは「音楽メディア」について考えたことを書きます。

 

私はこのニュースを見た時に、所謂「音楽メディア」の方々はどう考えているのかを知りたかったんです。

今回の件は実に様々な要素が絡み合った問題ですし、今後のライブ文化に関しても影響を与えかねない内容だと思ったからです。

規模が大きいとか有名アーティストだからとか運ばれた人が多かったということだけではなく、マスコミが一般人へ与えるライブへの印象やライブ会場でのマナーなど、多くの問題や改善すべき点が露呈したのがこの件だったように思います。フェスやライブの開催に携わる音楽メディアが、どのような見方をするのか、とても気になりました。

 

しかし、この件について取り上げられているものはほぼありませんでした。少なくとも私が探した中では、なかったです。見落としもあるかもなので「ほぼ」といっておきますが。

 

ONE OK ROCKの音楽の素晴らしさは世界にも認知されるくらいなのでわかります。実際、アルバム発売時だってメディアに引っ張りだこでしたよね。何度も言いますが、ONE OK ROCKの音楽自体を否定する気は毛頭ありません。

 

それ以上にマスコミに取り上げられ、SNSで話題になったこの件には、なぜ無反応なんですか?

こういう出来事を批判し、再発しないようにするべきではないのでしょうか。

「ライブは本来こんなに危険なものではありません。このライブがイレギュラーです。安全で楽しいライブこそ本来のライブです。」って伝えなくていいんですか。

 

先ほども書きましたが私は「音楽文化を守れるのは、音楽を愛する人だけだ」と思っています。あなたたちが動かずに誰が動くんだ。

音楽やアーティストの良さを伝えるだけのメディアなんですか。

「ライブや音楽に規制やルールを設けたくない」。わかります。でもこういう逸脱した行為まで「規制したくない」でまかり通るべきではない。実際に命の危険を感じたという方もいるんです。

ファン1人1人の小さな力よりも「音楽メディア」の方が影響力も大きいんです。あなたたちがきちんと逸脱行為は批判して、ライブの安全を確保してくれないと、ライブに来る人、減りますよ。音楽文化を、ライブ文化を、守ってください。

 

 

5.最後に

ONE OK ROCKの一連の騒動について、私が思ったことや考えたことを書きました。

私は音楽が心の底から大好きです。ずっと音楽という文化が続いてほしいと思っています。それだけに、今回のこの一件はとても引っかかりました。

 

散々偉そうなことを書いてきましたが、とは言え私たちが出来るのは「観る側」として自分の身を守ることだけです。

音楽を楽しめるように、ライブが素晴らしいものになるように、これからの音楽シーンがより良いものになるように、それぞれがいま一度考える必要があると思います。

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。