これからのライブ 〜ライブとは何なのかを改めて考えてみた〜

こんばんは!「Sounds Good!!」管理人の真珠丸です。

 

本日5/25、緊急事態宣言が解除されましたね!

ひとまず安心するとともに、気は抜けないなというのが私の心境です。

以前のように毎週末出かけるなんてことはまだできないなと。もうしばらく注意しつつ、最低限の外出に控えておこうかな、なんて思います。

 

さて、こんな記事を見かけて気になってしまいました。

www.sankei.com

 

「ライブハウス再開で業界と専門家が協議へ 西村担当相『6月中旬にも再開』」

 

 ・・・果たしてそんなことができるのでしょうか?

 

ライブハウスに行ったことがあるかい?

クラスターが発生したと一躍話題になっていた「ライブハウス」という場所。足を運んだことがあるでしょうか?

 

私はライブがかなり大好きでして、何千人もの人を収容できる大きなライブハウスから、数百人、もしかしたらもっと少ないかもしれない規模の小さなライブハウスまで、いくつかの施設に行ったことがあります。自分の乏しい体験で恐縮ですが、お話させていただこうと思います。

 

まず小さなライブハウスの話から。これは想像に難くないと思いますが、まず「ソーシャルディスタンス」なんてのを忠実に守っていたら人が収容できません。絶対赤字でしょ。10人くらいしか入らないんじゃないか・・・?とすら思います。

そもそもステージ上でソーシャルディスタンスが確保できない気がするな。

「感染防止策が講じられれば」再開できるのであれば、こういう場所の営業再開は厳しいんじゃないかと思ってしまいます。しかしですよ、クラウドファンディングの様子などを見ていても、やはり規模が小さめなライブハウスほど経営が厳しくなるんじゃないかと思うのですよ・・・。辛い現状だなあと頭を抱えることしかできません。

 

それでは大きいライブハウスの話をしますか。大きいライブハウスとは、そうですね、有名どころと言っても過言ではないでしょうか。ZEPP系列や、新木場STUDIO COASTとか、あのくらいの規模です。(新木場は本来はライブハウスではないのですが、まあそこはおいといて。)

このあたりだと行ったことのある方も多いかもしれませんね。大きな広場がないので、とにかく皆同じ場所に待機し、整理番号が呼ばれるまで待つ。中に入ればコインロッカーを探すのに一苦労、ドリンクを引き換えるのにもう一苦労。なぜ苦労するかと言えば、もうそれはそれは人でごった返しているからです。

そしてフロアに入ればもう人だらけ。自分の立ち位置を確保するのに精一杯なんてライブもざらにあります。ステージ上にアーティストが登場すれば、皆前の方に押しかける。

終演後は終演後でまた出るのに一苦労。皆汗だくで興奮冷めやらぬまま、一緒に来た友人や家族、恋人と感想を言い合っています。

これがライブハウスです。少なくとも、私が今まで行ったライブハウスの公演はこんな感じでした。

 

人少なくすれば解決じゃん?

とはいえ、上述したのは以前の話。

これからは新しい生活様式を追い求めなくてはなりません。

「人が多くて距離保てないなら、入場人数を減らせばいいじゃん」

これは解決方法として、一番簡単なことかもしれないですね。

まず場所は広いライブハウス限定です。

人を減らして待機場所に余裕を持たせ、一人一人検温する。マスク着用必須。

ドリンクもなくす。なぜならスタッフさんとの接点が増えるし、飲み終わった後のごみを考えると感染リスクが上がるから。

物販もなしですね、人が長蛇の列を作った場合、待機場所がなくなってしまいます。

フロアでもきちんとソーシャルディスタンスを保ちましょう。前後左右の人と2mの感覚を空けて観ること。動くのは禁止。最前列という概念もなくなります。ステージともソーシャルディスタンス。

飛沫感染の可能性を考えると、声を出すのも、歌うのも、話すのも禁止になりますね。

 

どうでしょう?新しいライブハウスのスタンスは?

 

 

・・・それ、本当に楽しいか?

 

ライブって何なのか?何を求めてライブハウスに足を運ぶのか?

経営の観点から考えると、「そろそろ営業再開しないとまずい」というのは至極真っ当な意見だと思います。だってかれこれもう3か月近く閉鎖されているのです。政府の補助金だけでやっていけるとは思えない。ライブハウス側もそうですし、アーティスト側もそうです。ライブ(というか物販)は貴重な収入源とも言われます。いい加減、ライブができないと破綻してしまう業界の方は非常に多いと思います。

 

でも、でもですよ、「感染拡大の防止策」ってそんな簡単に取れるのか?

ウイルスに関する研究だって、まだ何か正確なエビデンスや研究成果が出ているとは言い難いこの状況です。敵の実情を把握していないのに、策は打てるのか?

しかも「6月中下旬から再開」、あと1か月ないのですよね?例えば防止策としてサーモグラフィーや体温計が必要となったり、ライブハウスの動線やシステムを変えないといけなくなったりした場合、そんな急に準備できるのでしょうか?その費用はどうやって捻出する?

などと考え始めると、先述した記事は少々曖昧で見通しが甘いのではないかと思わざるを得ません。

 

「それを言い出したら何もできないじゃないか」という意見もごもっともです。何か手を打たないと経済は停滞したままです。この業界だって、このまま立ち行かなくなるかもしれない。勝つか負けるかわからないけどやらない限りは負けなのだから、やってみないとどうしようもないじゃないかということですよね。

 

でも負けが確定している勝負だったら、やらない方が安全なのではないか。今営業再開したら多分「負ける」と思います。

対策が甘い状態で営業を再開したら。その結果またクラスターが発生したら。死亡者が出てしまったら。

「ライブハウスのせいで感染者が増えた」という認識を人々に植え付けてしまったら。

その時は本当に未来がなくなるのではないかと思います。

 

先ほど「新しいライブハウスのスタンス」の話をしましたが、あのようなライブに参加して、本当に楽しめるのだろうか?という疑問はやはりあります。

「もしかしたら感染するんじゃないか」「ここでもらって家族や友人や会社・学校の仲間にうつしてしまったら」そんな心配をしながら、心の底から本当に楽しめますか?

あるいは、物販はなく、全員がマスクを着用し、均一に整列してここから動くなと、一言も言葉を発するなと、そんなルールを課せられたものをライブと呼びたいですか?

 

私は「ライブとは何か?」と問われると、「アーティストとオーディエンスの人生の交点だ」という話をします。アーティストからすれば、リスナーのリアクションを間近に体感できる場所、コミュニケーションを図れる場所。オーディエンスからすれば、憧れてやまない大好きなアーティストと過ごせる夢のような時間。普段交わることのない生活を送っているお互いが出会える場所。長い人生の中では一瞬かもしれませんが、かけがえのない数時間。それがライブであり、ライブハウスという場所だと思っています。

 

これからどうなるのかは誰にも分かりませんが、少しでも早く以前のような、自由で楽しいライブが開催されることを祈っています。